2012年12月28日金曜日

冊子を作る

冊子を作る


<概要>

最近の製品には、製本された取扱説明書ではなく、PDFなどの電子データで提供されているものが多くなりました。
パソコンのアプリケーションでは、アプリと、取扱説明書の両方を開いて作業することになりますが、画面が二分されるため効率が悪くなります。
この場合、プリントアウトして使うことになりますが、なるべく手間をかけず、使い勝手の良い冊子の形にまとめる方法を紹介します。

<作業手順>

まず、冊子にしたい電子データをプリントアウトします。この場合、両面印刷が可能ンタで、冊子(A4の用紙に裏表4ページを印刷し、折りたたむことで冊子にするモード)があるプリンタが必要です。レーザープリンタに、こうした機能が付いています。両面印刷するので、インクジェットプリンタでは裏写りしてうまく行きません。


図1.使用したレーザープリンタ(DCP8025J brother)

レーザープリンタ(DCP8025J)での「冊子」での出力設定は、図2のようになります。



図2 DCP8025Jでの「冊子」での出力設定

出力された紙をホッチキスで留めます。枚数があると張りが通りにくくなるので、何度か折り曲げて、紙を柔らかくします。(図3)




図3 ホッチキスで留める部分に折り目をつける

折り目をつける場合は全ての紙をまとめて折り曲げます。厚みがあるので多少ずれが生じますが、ホッチキスで留めた後も紙の厚さ分だけのズレが出るので気にする必要はありません。

折り曲げたら、ホッチキスで留めますが、ホッチキスを普通の状態で使おうとしても止まりません。そこで、固めのスポンジと、針が出る部分と、針を受ける部分が離れるタイプのホッチキスを用意します。(図4)



図4 固めのスポンジとホッチキス

針で留める部分の下に、スポンジを敷き、そのスポンジに向けて針を打ち込みます。(図5)



図5 ホッチキスで針を打ち込む

垂直に打ち込むようにするとうまくいきます。(針に対して斜めに力がかかると針が折れ曲がります)

うまく針が打ち込めると図6、図7のようになります。



図6 針の表面



図7 針の裏面

A4サイズなら、上・中・下の3箇所に打ち込めばよいと思います。(図8)



図8 3箇所に針を打ち込んだ様子


完成して使用している様子です。(図9)



図9 冊子を使用している様子


以上

2012年11月24日土曜日

スピナー (2輪ラジコン)

スピナー (2輪ラジコン)

(https://sites.google.com/site/suupen11spinner/ より転載)


0. 概要

 


10年ほど前から1万円以下で購入できる電動飛行機が出てきました。双発プロペラの飛行機では、左右のプロペラの回転数を変えることによって直進・旋回を制御しています。写真0-1
遊んでいるうちにプロペラや機体を破損して使えなくなったので、飛行機の部品を利用して2輪ラジコン「スピナー」を作りました。写真0-2~0-5



写真0-1 ラジコン電動双発飛行機




写真0-2 2輪ラジコン「スピナー」全景


写真0-3 下部


写真0-4 モータ部分


写真0-5 後部電池部分




1. 部品


No    部品名称    個数    備考
1    ラジコン電動双発飛行機    1    TAIYO 電動プレーン ダッシュエイト(モータが2個付いた飛行機を使用します)モータ、受信機、電池ホルダ、後輪、ニッカド電池、送信機 を流用
2    CD    4    車輪用 2枚車台用 2枚
3    プーリー(L)セット(楽しい工作シリーズNo.141)    1    タミヤ<使用した部品>プーリー(L3、φ50)2個Wブッシュ(2.0W)2個φ1.9ネジ、ナット 4セット車輪となるCDに固定し、モータシャフトに固定するために使用します


ラジコン飛行機からは、モータ、受信機、電池ホルダー、後輪、ニッカド電池、送信機を取り出します。写真1-1~1-6



写真1-1 モータ



写真1-2 受信機


写真1-3 電池ホルダ



写真1-4 後輪



写真1-5 ニッカド電池



写真1-6 送信機



2. 工作手順

2-0.概要

車輪となる2枚のCDの間に、モーター、受信機、電池などの機構部を搭載した車台CDを挟み込んだ構造となります。写真2-0-1、2-0-2





写真2-0-1 上面


写真2-0-2 下面

車輪を回転させると、モータ側は反対方向に動こうとします。このため車台CDの後ろ側に後輪をつけて、機体を安定させます。
車台CDへの部品の組み付けは、使用するラジコンによって部品形状が変わってきますので、部品配置などはそれぞれ工夫してください。



2-1.車台CDの加工

車台CDの中心軸を通るようにモータを左右に配置します。その間に受信機を置き、車台部後方に電池と後輪を配置します。部品はCDに穴を開けてはめ込みます。方眼紙にCDの外形を書き、そこに各部品を置いて配置を考え、穴位置などを決めます。写真2-1-1
(注意:写真2-1-1の図面は参考例です。使用するラジコン飛行機の部品によって部品の位置や穴形状は変える必要があります)




写真2-1-1 車台CD図面






写真2-1-1の方眼紙の裏にCDを貼り付け、穴を開ける箇所にポンチをうちます。写真2-1-2、2-1-3


写真2-1-2 方眼紙へのCD固定


写真2-1-3 ポンチ打ち

ポンチを打ったところにドリルで穴あけをします。
角穴は四隅をドリルで穴あけした後、リュータで直線切りします。写真2-1-4,2-1-5


写真2-1-4 ドリル穴あけ


写真2-1-5 リュータ直線切り

穴あけが完了した車台CDが写真2-1-6となります。



写真2-1-6 車台CD穴あけ完了

車台部のCDは、1枚だけでは載せる部品でたわみが出たので2枚重ねとしました。2枚目のCDの穴あけは、1枚目のCDから飛び出た部品(今回は、受信機と電池ホルダ)に対して行います。写真2-1-7



写真2-1-7 車台2枚目CD(右側のCD)

CD同士の接着は、1枚目のCDに部品を装着(接着剤で固定せず、CDに差し込むだけ)した状態で2枚目をはめ込み、CD同士を接着剤で固定します。このようにするとCD同士がずれません。

2-2.車台CDへの部品の固定

車台CDができたら、部品を固定していきます。車台CDと部品の位置関係を写真2-2-1~2-2-6に示します。



写真2-2-1 車台CD



写真2-2-2 車台+受信機



写真2-2-3 車台+後輪+電池ホルダ



写真2-2-4 車台+モータ



写真2-2-5 車台+全部品(上面)



写真2-2-6 車台+全部品(下面)

車台CDと部品は接着剤で固定していきます。受信機は差し込むだけで安定していたので接着はしていません。(受信機はまた別の製作で流用できるので、接着しないで差込だけにしておいた方が良いと思います)











2-3.車輪の作成

車輪にもCDを使います。パソコンで車輪の模様を作成してCDにプリントすると良いでしょう。渦巻き型のデザインの場合、デザインした画像を左右反転させてもう一枚にプリントすると、両方から見て同じ流れになります。写真2-3-1


写真2-3-1 車輪CD(渦巻き)

今回は幾何学的なデザインにして印刷しました。写真2-3-2



写真2-3-2 車輪CD(幾何学デザイン)

車輪CDとモータ軸の接続には、プリーを使用します。車輪CDとプーリー(L3、φ50)の中心軸を合わせて、ネジで固定します。CDのネジ穴位置を写真2-3-3に示します。


写真2-3-3 車輪CD図面

穴あけ方法は、車台部CDの穴あけと同様の方法で行います。
車輪CDの印刷面からネジを入れ、CDの記録面にプーリーを固定します。写真2-3-4



写真2-3-4 車輪CD裏

モータ軸と車輪CDとは、プーリーの中心に差込むWブッシュ(プーリーセットに付属)で接続します。モータ軸径は2.6mmで、ブッシュの穴径には2.6mmに合うものがありませんでした。そこで、モータ軸の先を四角形に大まかにヤスリで削った上で、穴径2.0mmのWブッシュに、2.5mmのドリルで穴径を広げて差込みました。モータ軸を四角形にしたのはブッシュに挿した後で空回りを防ぐためです。写真2-3-5、2-3-6



写真2-3-5 モータ軸とWブッシュ



写真2-3-6 モータ軸とプーリー

2-4.仮組み・試運転
車台上のモータにプーリーを差し込み、電池ホルダに電池を差し込みます。写真2-4-1


写真2-4-1 本体完成

この状態で動作確認をします。車輪CDとプーリーを止めているネジが内側に飛び出しているので、車台部の電線などに引っかからないか確認してください。

3.調整

写真3-1の送信機の左側ステックで速度調整(左右モータを同速回転)、右側のステックで左右回転(左右一方のモータを回転)します。左側ステックを倒して直進させようとすると、スピンするだけで直進しません。これはモータを左右対称に設置するため、車輪が左右で反対方向に回転するためです。これに対応するため、一方のモータの受信機につながるコネクタの電極を入れ替えて、モータの回転方向が逆になるようにします。コネクタを入れ替えてもモータや受信機に悪影響を与えることはありません。直進するときに車台が後方に傾くため、車台下に取り付けた後輪側が、後尾になるようにコネクタを入れ替えるモータを選択してください。



写真3-1 送信機

車輪にCDを使用していることと、モータが高速で回転するため車輪がスリップしやすいです。対策としては、CDを2,3枚重ねる、CDの外周にゴム、ビニールテープを巻きつけるなどしてください。

4.送信機のACアダプタ電源化

送信機は単三電池8本を使用します。電池を用意するのが大変なので、ACアダプタで動作するように改造しました。ACアダプタには12VのSW電源を使用します。送信機とACアダプタの接続のため、送信機の側面に穴を開けてジャックを取り付けます。写真4-1、4-2



写真4-1 送信機への電源ジャックの取り付け1



写真4-2 送信機への電源ジャックの取り付け2

送信機の電池ボックスの電極と、ジャックの電極を電線で接続します。ACアダプタのプラグ極性を確認して、プラスマイナスを間違えないようにしてください。配線後にテスターで極性確認をすると良いでしょう。
送信機にACアダプタを接続した状態を写真4-3に示します。



写真4-3 送信機+ACアダプタ

室内で使用する場合にはACアダプタでの電源供給の方が電池の消耗を気にする必要が無いので便利だと思います。ACアダプタの電源容量が小さかったり、ACアダプタから出るノイズで送信機が誤動作する可能性もありますので、この点には注意してください。

以上

2012年11月10日土曜日

ドットマトリクス時計(dotmatrix clock)

ドットマトリクス時計(dotmatrix clock)


16*16 2colorLEDのドットマトリクスを使った時計を紹介します。

動画:dotmatrixclock_cq.wmv

1. 概要

秋月電子通商で販売されている16x16ドットマトリクス2色LED LT-5016M1(http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-00039/)を使ってアナログ風12時間表示の置時計を作りました。制御にはmbedを使用しています。時刻設定はEthernetでNTPから時刻データを取得するので手動での時刻設定は不要です。LEDの制御にはTLC5940(http://www.ti.com/lit/ds/slvs515c/slvs515c.pdf)を使い100階調で滑らかな表示を可能にしています。
写真1-1~1-8に時計の各部分を示します。


写真1-1 正面



写真1-2 側面


写真1-3 背面(コネクタ)



写真1-4 上面



写真1-5 上背面





写真1-6 LEDモジュール(正面)


写真1-7 LEDモジュール(背面)



写真1-8 コネクタモジュール




2. ハードウエア

2-1.システム構成

図2-1-1にハードウエアのシステム構成を示します。外付けUSBはケースに組み込んだ後のプログラム書き換えのためです。mbedのUSB端子を使う場合は省略可能です。Etherは起動時にNTPで現在時刻を取得するために使用します。ドットマトリクスの制御はダイナミック出力で制御します。TD62783はドットマトリクスへの電源供給とRow制御を行います。TLC5940はドットマトリクスの輝度制御と、Column制御を行います。ドットマトリクスLEDは消費電力が大きいのでmbedのUSBからの給電では動作できません。このため+5V電源を外部から接続します。(Row、ColumnはドットマトリクスLEDの信号名です)



図2-1-1 ドットマトリクス時計システム図





2-2.回路図

次に回路図を図2-2-1~2-2-5に示します。



図2-2-1 回路図(mbed部)

 


図2-2-2 回路図(TLC5940部)

 


図2-2-3 回路図(TD62783APG部)

 


図2-2-4 回路図(LT5016M1部)

 


図2-2-5 回路図(USB、Etherコネクタ部)


図2-2-1のmbed周辺回路ですが、mbedに付属するUSB端子からプログラムを書込みする場合には、mbedのIF-、IF+、nRへの配線は不要です。USB端子を外付けする場合には、外付けUSBからmbedへの電源(Vbus)供給のためmbed側の改造が必要です。この改造については2-3で説明します。

図2-2-2のTLC5940はLEDをPWM制御するためのICです。IC1個で16本のLEDを制御できます。ドットマトリクスLEDは赤、緑の各16本ずつ制御するのでICは2個使用します。階調データ送信とPWM出力は同時に行うようにしています。

図2-2-3のTD62783はドライバICです。ドットマトリクスLEDの消費電流が大きいのでmbedのデジタル出力端子では必要な電流を供給できません。このためTD62783を使い必要な電流を供給します。また、ドットマトリクスLEDはダイナミック制御とする必要がありますのでそのためのColumn線の制御も行っています。

図2-2-4のLT5016M1は16*16 2色(赤・緑)LEDドットマトリクスです。ダイナミック制御で点灯します。Row線で点灯ラインを決め、Column線で点灯LEDを決めます。赤・緑でRow線は共通なので、Row線への電流供給は2ライン分の容量を持たせる必要があります。

図2-2-5のCN1は外付けUSB端子になります。mbedのUSB信号線はIF+、IF-端子にそのまま出力されているので、この端子にCN1のD+、D-端子を接続します。CN1のUSB電源(Vbus)はmbedのVU端子に接続します。本来VU端子は+5V電源出力なので、ここに外付けUSBのVbusを接続してはいけませんが、mbedへの外付けUSB接続通知をするために必要となります。この接続のためmbed側に改造が必要になりますが、これについては2-3で説明します。

図2-2-5のLAN1はEtherのコネクタになります。簡易的な接続ではTD+,TD-とRD+、RD-の接続で通信できます。今回の製作では、mbedとコネクタ間は10cm程度のケーブル接続としたためノイズの影響を受けやすく、通信ができませんでした。このためEtherコネクタのCTをmbedのVOUT(3.3V電源)に、GNDはmbedのGNDに接続しています。

2-3.USB端子の外付け

mbedをケースに組み込んだ状態でプログラムを書き換えする場合には、ケースにUSB端子が出ていると便利です。
mbedのIF+、IF-端子はmbedのUSBのD+,D-端子が直接接続されており、ここに外付けUSBのD+、D-を接続します。また外付けUSBのGNDはmbedのGNDに接続します。これは図2-2-1、図2-2-5の回路図の通りです。
しかしこの状態では、外付けUSBにパソコンを接続してもUSB認識しません。これは、mbedがUSBのVbus端子からの+5Vを認識して、D+をプルアップすることでパソコンがUSB接続されたことを認識するためです。外付けUSBのVbusをmbedのVbusに供給する必要がありますが、mbedには、このための端子が用意されていません。そこで、mbedのVU端子(mbed内USBのVbusからの+5V電源供給端子)に外付けUSBのVbusを接続した上で、mbedにダイオードを追加する改造をして対応します。
ここ(http://mbed.org/media/uploads/chris/mbed-005.1.pdf)にmbedの回路図があります。この2/5ページにUSBのVbus周りの回路があります。図2-3-1に抜粋を示します。







図2-3-1 mbedのUSB電源関係回路

ここで、R13が未実装となっており、ここにダイオードをAにアノード、Bにカソードが来るように接続すれば、mbedのVU端子からmbed内部のVBUSに電源を供給することができます。写真2-3-1にダイオードを接続した様子を示します。



写真2-3-1 mbedへのダイオード追加
この状態では、外付けUSBのVbusは電流制限がかからないので、図2-2-5にあるようにResettableFuse(500[mA])を入れておきます。この改造を行った場合でも、mbedのUSBは制限なく使用できます。ただし、mbedのUSBと外付けUSBは同時に接続使用はできません。必ずどちらか一方のみの使用となります。

上記ではmbedにダイオードを追加しましたが、図2-3-1の未実装R13のA側ランドに外付けUSBのVbusを接続すれば、mbed内部の電流制限機能が有効になるので、図2-2-5のResettableFuseは不要になります。ただし、この接続のために配線が1本必要になりますのでmbedを別の工作で使いまわす場合に不便です。
もっと簡単には、mbedのUSB端子に延長ケーブルを接続すればmbed側の改造は一切不要です。可能なら延長ケーブルを使用する方法が良いでしょう。

3. 組み立て

3-1.部品一覧









一覧表に示した部品の内、半導体以外の部品は型番にこだわる必要はありません。手持ち部品などを使用してください。また外付けUSBを使わない場合はNo.12,13,14の部品は不要です。
*1:1セットの数量が必要数量より多いので注意

3-2.加工・組み立て

ここでは置時計として使うための見栄えを考えた工作のポイントを説明します。

3-2-1.LEDモジュール

置時計として使うためドットマトリクスLEDと同面積の基板を奥行き方向に重ねるように部品配置をします。この部分の回路をLEDモジュールと呼ぶことにします。写真3-2-1-1にLEDモジュールを組み立てた状態を示します。




写真3-2-1-1 LEDモジュール

ドットマトリクスLEDの端子は2mmピッチですので、1.27mmピッチのユニバーサル基板の穴にピンを差し込みピン間隔を調整します(写真3-2-1-2)。その後で、1.27mmピッチピンヘッダを取り付けてユニバーサル基板に固定します。(写真3-2-1-3)ピンヘッダの使用しないピンは配線時の邪魔になりますので抜いておきます。ただし、+5V、GNDやTLC5940の制御線をこのピンを通して配線するので、この分の配線用のピンは残しておく必要があります。




写真3-2-1-2 ドットマトリクスLED端子トリミング

 


写真3-2-1-3 ドットマトリクスLEDピンヘッダ装着


配線に使用するユニバーサル基板はドットマトリクスLEDの画面の大きさに切り取ります。切断は、ピン穴に沿ってカッターナイフで両面に筋目を入れ、端をラジオペンチで固定して折り取ります。基板端面のスジ入れが浅いとバリが出ますので、基板端面の筋入れは入念に行ってください。写真3-2-1-4、3-2-1-5
ユニバーサル基板の切断でアクリルカッターを使用すると、基板の穴に引っかかりうまく切れません。ユニバーサル基板の切断には普通のカッターナイフが良いと思います。




写真3-2-1-4 基板の切断加工

 


写真3-2-1-5 両面、片面基板加工完了

写真3-2-1-1にあるように片面基板はドットマトリクスLEDとTLC5940の配線用、両面基板はmbedとTD62783APGの配線用として使用します。ドットマトリクスLEDの端子は4辺にあり、2列のピン群はColumn信号で、片面基板上のTLC5940に配線されます。1列のピン群はRow信号で、両面基板上のTD962783APGに配線されます。Row信号は片面基板を貫通して両面基板まで配線を伸ばします。このために、片面基板のパターン面に1.27mmピンヘッダを立て、対面する両面基板側にピンソケットを配置することで、2枚の基板の接続を行います。このピンヘッダ-ピンソケットではドットマトリクスLEDのRow信号だけでなく、+5V、GND、TLC5940の信号線も空き端子を使い配線します。(写真3-2-1-6、写真3-2-1-7)



写真3-2-1-6 片面基板側ピンヘッダ

 


写真3-2-1-7 両面基板側ピンソケット



片面基板の配線の様子を写真3-2-1-8に示します。片面基板へのTLC5940の配線の後、ドットマトリクスLEDの配線を行いますが、ドットマトリクスLEDの実装後の回路修正は困難ですので、配線間違い、断線、短絡の確認は充分行ってください。



写真3-2-1-8 片面基板の部品実装

両面基板への部品実装の様子を写真3-2-1-9に示します。両面基板は端子穴がスルーホールになっているため、基板両面で配線を交差させることができません。(スルーホールを通じて短絡する)このためパターンワークには注意してください。
mbedの実装には2列のピンソケットを使用しましたが、これは1列のものが入手できなかったためです。ただ、動作試験での信号の取出しには好都合でした。



写真3-2-1-9 両面基板の部品実装


 3-2-2.コネクタモジュール
ケースに組み込んだ場合にResetSW、Etherコネクタ、+5V電源コネクタ、USBコネクタの端子口をケースから出す必要があります。今回はこれらコネクタをまとめたモジュールを作成し、LEDモジュールとは別に配置することでケースへの取り付けを行いました。(写真3-2-2-1)



写真3-2-2-1 コネクタモジュール

ユニバーサル基板はLEDモジュールの片面基板の端材を使用しています。基板の配線面は、部品端子や配線材で厚みが出るので、台と基板の間にナットを噛ませて浮かせた状態で固定します。
台はアクリル(5mm)をケースの内寸法に切り出して使用します。基板固定用のネジ穴とネジ頭を埋め込む窪みを空けます。(写真3-2-2-2)


写真3-2-2-2 コネクタモジュール台

コネクタモジュールの固定位置はケースに組み込んだときに、コネクタ口端面とケース端面が合う位置になるように調整します。(写真3-2-2-3)



写真3-2-2-3 コネクタとケース端面の関係

3-2-3.ケース加工

ケースは100円ショップにあったMDケースを使用しました(写真3-2-3-1)。



写真3-2-3-1 MDケース

ドットマトリクスLEDをケース各辺に対して45℃回転して配置しました。ドットマトリクスLEDの各辺がわずかにケースに当たるので、干渉する部分のケース側を削りLEDモジュールを収めます。写真3-2-3-2、3.-2-3-3



写真3-2-3-2 ケース切り欠き




写真3-2-3-3 ケース切り欠きとLEDモジュールの嵌めあい

ケースの厚みもそれほど無く、ドットマトリクスLEDの角が強く当たると割れやすいので、この部分は注意して加工します。



写真3-2-3-4 ケースへのLEDモジュールへの組み込み

ケースの蓋はネジでケース本体に固定します。ネジ穴は、この後作るスモークフィルムを蓋に装着した状態で、蓋とケースを合わせて、蓋とケース本体を同時にドリルで穴あけします。こうするとネジ穴がずれません。穴を開けたら、ケース本体の内側にナットを接着します。このナットとねじでケースと蓋を固定します。写真3-2-3-5、3-2-3-6



写真3-2-3-5 ケースへのナット接着



写真3-2-3-6 蓋のケースへの固定

ケース下面の蓋固定用のネジにはペットボトルの蓋を挟み込んで置時計の足とします。写真3-2-3-7、3-2-3-8



写真3-2-3-7 ケース足

 


写真3-2-3-8 ケースへの足の固定


コネクタモジュールのケースへの組み込みでは、コネクタモジュールをケースに仮組みし、ケースに空けるコネクタ穴位置を確認して、アクリルカッターやドリルで穴あけします。電動ドリルで穴開けする場合、ケースの素材がスチロール樹脂の場合、ドリルとの摩擦熱で溶けますので回転数を落とすなどして穴開けします。穴あけ後はヤスリでコネクタと穴の位置を微調整してガタツキの無いようにします。ケースへのコネクタモジュールの組み込み位置が決まったら、コネクタ台のアクリル板とケースをアクリル用の接着剤で固定します。写真3-2-3-9、3-2-3-10



写真3-2-3-9 コネクタモジュール台とケースの接着

 



写真3-2-3-10 コネクタとケースの正面

3-2-4.ディスプレイ用スモークフィルム
ドットマトリクスLEDの前にスモークフィルムを置き、LEDの光を和らげています。スモークフィルムは、VTRの外箱のプラスチックを使いました。くもり度合いが低いので、2枚重ねて使用しました。写真3-2-4-1、3-2-4-2



写真3-2-4-1 VTR外箱

 


写真3-2-4-2 スモークフィルム切り出し


スモークフィルムはケース蓋とドットマトリクスLEDの間に挟んで使用します。このため、ケースの蓋はフィルム分浮くことになるので、蓋の固定穴を開けるときは、このフィルムをはさんだ状態で開けるようにしてください。

 4. ソフトウエア

ソフトウエアはmbedのWeb(http://mbed.org/users/suupen/notebook/2color-led-dot-matrix-clock/)からダウンロードしてください。

用意したプログラムは、電源投入時にNTPから現在時刻を取得し、mbed内のRTCに設定後、RTCの計時に従って表示を行います。

4-1.プログラムファイルの説明


プログラムは、機能単位でファイルを別けています。ここではファイル毎の機能を大まかに説明します。詳細は割愛します。必要に応じてソースファイルを解析してください。

表4-1 ファイル名と機能



* 1:http://mbed.org/cookbook/Ethernet
* 2:2011/09/19現在 NTPClientMinというライブラリに置き換わっています。(http://mbed.org/users/hlipka/libraries/NTPClientMin/llj6s5)

ライブラリはプログラムファイルに含まれているので、別途ダウンロードする必要はありません。








5. まとめ

今回の製作で関係するmbedWebをまとめておきます。
TLC5940制御サンプル:
http://mbed.org/users/suupen/notebook/tlc594016channel-led-driver-grayscale-pwm-control-/
USB外付け方法:
http://mbed.org/users/suupen/notebook/how-to-external-usb-receptacle-on-mbed/

以上