2012年10月28日日曜日

太陽電池門柱灯

太陽電池門柱灯

<0.捕記>

161223追記 樹脂ケースの交換

機材を入れていた透明ケースが破損したので、交換しました。日陰に置いておいたのですが、それでも太陽光(紫外線)で劣化したようです。野外での樹脂の使用はこうした劣化を考慮しないといけないと実感しました。
本来なら金属製ケースを使うべきですが、適当なものがなかったので、不透明の樹脂ケースを使いました。透明、赤系統は紫外線を吸収しやすいと思い今回は灰色系の樹脂ケースです。

破損した樹脂ケース
新規購入したケース
 一回門柱の蛍光灯を交換しましたが、バッテリー、コントローラなどの動作には異常はありません。

<1.概要>

市販されている門柱灯は電源として商用電源(AC100[V])を使用します。このため、後付で門柱灯を設置する場合は、電源の配線工事が必要になり、工事費もそれなりに必要になります。この工事費相当を独立電源システム構築用に使用して、太陽電池+バッテリーの独立電源として、非常時の電源としても使える門柱灯を製作しました。(図1-1,1-2)

2012年6月現在、門柱灯の点灯時間4h/日 での使用で、満充電の状態を保ちながら運転しています。
一日の充電量:晴天時:10[Ah] 曇天・雨天時:2.0[Ah]
一日の消費電力量:約76[W/h]

製作・運用上の注意
太陽電池の発電量が100[W]を超え、バッテリの容量は100[Ah]を超えるものを扱っています。配線をショートさせた場合、太陽電池の破損や、バッテリの爆発などの危険があります。また、ケーブルの抵抗分が大きい場合には、ケーブルの発熱・発火の可能性があります。
このような危険がありますので、上記の現象が発生する理由が理解できない場合は、今回の工作は行わないでください。


図1-1 門柱灯と太陽電池



図1-2 バッテリーと電源コントロール部

<2.システム構成>


図2-1にシステム構成を示します。



図2-1 太陽電池門柱灯システム構成図

使用した機器と部品の一覧を表2-1に示します。

表2-1 機器・部品一覧












 <3.設置・配線>

3-1.太陽電池の設置
太陽電池は、門柱のブロック塀に貼り付ける形で設置しました。発電効率を考えると、傾斜を持たせて設置すべきですが、見た目とインターフォンの直下への設置ということもあり、このような形になりました。

太陽電池の上下にネジ穴を開け、アングルを取り付け、別のアングルで門柱を挟み込む形で固定します。
図3-1-1、3-1-2,3-1-3に太陽電池へのアングル取り付け状態を示します。
図3-1-4,3-1-5に門柱に固定した状態を示します。



図3-1-1 太陽電池へのアングル固定(全体)




図3-1-2 太陽電池へのアングル固定(上面)



図3-1-3 太陽電池へのアングル固定(下部)



図3-1-4 門柱への固定(側面全体)




図3-1-5 門柱への固定(側面上面)

3-2.バックルコンテナの加工
バックルコンテナには、バッテリ、太陽電池充放電器、インバーターを設置します。(図3-2-1)



図3-2-1 バックルコンテナへの設置状況

門柱灯と太陽電池のケーブルは、コンテナを貫通します。防水コンセントをバックルコンテナに固定して、これを経由してケーブルを貫通させます。(図3-2-2、3-2-3)




図3-2-2 防水コンセント下板固定、バックルコンテナ穴あけ加工





図3-2-3 防水コンセント本体固定

インバータからのAC100[V]は、防水コンセントの、コンセント部分に接続して、門柱灯からのプラグを防水コンセントに接続します。

太陽電池からのケーブルは、防水コンセントのケーブルを通す穴から直接貫通させます。ケーブルの途中にあるコネクタ部分をケース内に入れて、コネクタが水に濡れることを防ぎました。もし、ケース外に出る場合は、コネクタ部分を防水テープで巻きます。
(図3-2-4)



図3-2-4 防水コンセントへの配線状況

3-3.配線コード準備

図3-3-1に門柱灯システム配線図を示します。



図3-3-1 門柱灯システム配線図

この中で①~④のケーブルを作成します。バッテリの端子間隔が広いので、バッテリと太陽電池充放電制御器との間はVCTFケーブルの片方1線づつ使います。
その他は、VCTFケーブルの2線を使います。

3-4.電源関係の配線・設置
3-4-1.バックルコンテナの設置
コンクリートブロックの上に、バックルコンテナを設置し、その中にバッテリ、太陽電池充放電制御器、インバーターを置きます。配線前に、ケーブルの取り回しを考えて配置を決めてください。

3-4-2.配線と太陽電池充放電制御器の設定

備考:配線上の注意
今回使用する太陽電池、バッテリは扱う電力が大きいです。ケーブルを短絡させた場合、太陽電池の破損、バッテリの爆発、ケーブルの焼損させます。万が一にもケーブルを短絡させないように考慮して作業順序を決めてください。

“3-3”で作成したケーブルで各部を配線していきます。

1. 太陽電池充放電制御器にバッテリへのケーブルを接続する
図3-3-1 ②のケーブルを使用。
バッテリの端子に丸端子を接続する
(太陽電池充放電制御器のバッテリ端子の間隔が狭く、ケーブルを接触(短絡)させる可能性があります。このため、接続を太陽電池充放電制御器、バッテリの順序で行い短絡の危険を避けます)

2.太陽電池充放電制御器の設定
今回使用した太陽電池充放電制御器では、設定を太陽電池を接続する前に行います。
設定方法は、太陽電池充放電制御器の説明書を参照してください。

バッテリへの充放電制御値の設定について
ディープサイクルバッテリーの充放電制御値は、車用とは違っています。今回使用したバッテリーの制御値は不明ですが、

バルク電圧:14.7[V]
フロート電圧:13.8[V]
で設定しました。

3.太陽電池充放電制御器と太陽電池の配線
図3-3-1 ⑤のケーブルを使用。太陽電池充放電制御器側は、被覆を剥き、芯線をそのまま接続に使用します。(芯線自体が太く、端子を使用する必要はありません)
バッテリと同じく、太陽電池充放電制御器側から配線を行います。
太陽電池専用ケーブルを太陽電池充放電制御器に接続する。
(今回、太陽電池専用ケーブルが、白黒のものでしたが、白が太陽電池のマイナス、黒がプラス側になっていました。配線する前に、極性を確認して、逆接続することが無いようにしてください)
次に、太陽電池からのケーブルと太陽電池充放電制御器からのケーブルをコネクタで接続する。

4.太陽電池充放電制御器とインバータの接続
図3-3-1の①のケーブルを使用。
太陽電池充放電制御器の“負荷”の端子にケーブルを接続します。インバータとは、シガーソケットを介して接続します。どちらから接続してもかまいません。

5.インバータと防水コンセントとの接続
図3-3-1の③のケーブルを使用。
インバータ側は電源プラグ、防水コンセント側は棒端子で接続します。

6.門柱灯と防水コンセントの接続
図3-3-1の④のケーブルを使用。
配線の前に、門柱灯を取り付ける準備を行います。門柱灯を設置する部分に電線を通す穴と、門柱灯を固定するネジ穴を開けます。
それから配線を行います。(図3-4-2-1a,b,c)



図3-4-2-1a 門柱灯配線1



図3-4-2-1b 門柱灯配線2



図3-4-2-1c 門柱灯配線3


門柱灯側は棒端子で、防水コンセント側は電源プラグで接続します。
防水コンセント側の配線状況を図3-4-2-2に示します。



図3-4-2-2 防水コンセント側配線状況

<4.まとめ>

電力の利用効率から考えると、バッテリの出力電圧12[V]をそのまま使う門柱灯を使うべきです。しかしインバータを使用すれば、一般の電気機器がそのまま使えるので便利です。今回の場合、殺虫灯や、LEDライトを追加しています。
非常時の電源としても利用できますので、インバータを使う構成にして正解でした。(図4-1)



図4-1 殺虫灯、LEDライト追加

商用電源の電気料金は、約20[円/kWh]です。今回のシステムでは、76[Wh/日]で、1年使用すると28[kWh]、560[円]の節約になります。部材の購入費が5万円程度なので、償却年数は、50000/560=89年 となり費用回収は不可能です。
以上の計算から、商用電源の配線工事費が、部材費を上回る場合にのみメリットが出ます。

太陽電池を使用したシステムは、商用電源が使えないところでの代替手段です。また、停電時の非常用電源としての価値をどう捉えるかで、今回のシステムを構築するかしないかが決まるでしょう。


以上

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