2012年8月29日水曜日

コインキーホルダの作成

コインキーホルダの作成


<概要>

5[mm]厚の透明アクリル板を切削して、コインホルダを作りました。


<材料>

透明アクリル(50 * 80 * t5[mm]) 2枚(コインキーホルダ、面取り冶具用)
 エンドミル:刃径2[mm]、刃長:5[mm]
 刃径は1[mm]以上あればよい。5[mm]のアクリルを切削するので刃長は5[mm]以上必要

アクリル研磨材
アクリルサンデー(研磨剤)
 アクリル専用の研磨剤です。大きな傷を消す場合に使用します。

サンエーパール
 研磨の仕上げに使います。




<データ作成と加工>

切削データの作成、切削はiModela(iM-01)付属のiModera Creatorで行います。
コインホルダは、コインを挟み込むように、容器と蓋に別けて切削します。重なり合う部分をピッタリ合うように加工するため、接着剤などは使用せず、はめ込むだけで実用になります。
使用するコインによって寸法は変わってくるので、作成時の3Dシュミレーションの画面を紹介していきます。

まずは外形の切削です。



削り出した容器と蓋部分のアクリルです。



この状態で仮組みしたところ



次に、表面の面取り時に使用する固定冶具です。



上下左右のスジは、面取りした後に取り外すときに棒で抉るための溝です。

削り出した面取り冶具と、面取りする蓋部分



この面取り冶具に容器・蓋をはめ込み、表面が上になるようにします。




次に、面取りです。
面取り冶具に容器、蓋をかぶせ、端面と、紐を通す穴を曲面に削ります。



切削はこれで完了です。

面出しした端面は、段になっているので、ヤスリで削り落として滑らかな曲面になるようにします。
後は、研磨剤を使ってひたすら磨きます。最初は、アクリルサンデー(研磨)で大きな傷を消して、仕上げで、サンエーパールを使います。

2012年8月26日日曜日

iModelaで「手書きイラストはんこ」をつくる

iModelaで「手書きイラストはんこ」をつくる


<概要>

手書きの線画イラストをはんこにします。







<道具・材料>

道具・材料は、「iModelaでアクリルキーホルダ(アルファベット)」と同じです。

印章面の材料は3[mm]厚のアクリル板を使いました。

判子の持手部分はアクリルブロックを使用しました。

<作り方>

イラストを紙に書きます。はんこは、線が細いときれいに印影が出ないので、黒マジックでなるべく太い線で書いた方がよいです。



描いたイラストをスキャナで取り込みます。このときに、BMP形式の2値画像として保存します。JPEGで保管した場合や、2値画像になっていない場合は、Windowsの「ペイント」ツールで、画像変換します。





WINSTAR Craft for iModelaとiModela(iM-01)の準備

最初に、イラストを彫るので、切削工具として、エンドミル60°を使います。
3[mm]厚のアクリル板をiModelaのテーブルに両面接着剤で固定し、切削工具を装着します。その後で、iModela Controllerで、X,Yの中心位置への移動と、Z軸の原点設定を行います。Z軸の原点設定が終わったら、アクリルを傷つけないようにZ軸を2[mm]程度上に上げておきます。

今回、はんこの持ち手として、18×18[mm]の底面を持つアクリル柱を使うので、この寸法ではんこを作ります。また外形カットにルータ1[mm]を使うので、この加工で必要な寸法も考慮して、X,Y軸の中心位置を決めてください。





次に、イラストを読み込みます。

iController
刃物径:0.1[mm]
パラメータ入力
幅:16.176[mm] (高さを設定すると自動で入力される)
高さ:17[mm]
外側切削幅:18[mm]
外側切削高:18[mm]
反転彫り:チェックを入れる
外側枠でのパスのクリップ:チェックを入れる
画像取り込み:
オプション-トリミング:チェックを入れる




次に加工設定を行います。
先に刃物径で0.1[mm]を設定しましたが、切削完了時の切削幅を1[mm]にします。このため、切込み深さを0.57[mm]に設定します。(切削幅=切削深さ×1.73)
エンドミル60°は切削深さによって、切削幅を変えることが出来ます。今回のように、設定と、実際の切削幅を変える場合には都合が良い切削工具です。

このように、設定と実際の切削幅を変える理由は、設定時に、切削幅を太くすると、イラストの線より、切削幅が太くなるため、切削対象から除かれます。これを防ぐために、設定では、切削幅を細くする設定にします。

加工設定
    切込み深さ:0.57[mm]
    仕上げ加工:チェックを入れる




次に外形カットのデータ設定を行います。

切削工具はルータ1.0[mm]を使用します。
はんこの持ち手アクリル柱の寸法に合わせて設定します。

iController
    刃物径:1.0[mm]
パラメータ入力
    幅:18[mm]
    高さ:18[mm]




次に加工設定を行い、加工します。

使用したアクリル板の厚さを切込み深さとします。

加工設定
    切込み深さ:3[mm]



これで、外形を切り出したら切削加工は完了です。

アクリルは水分をはじきやすく、インク・朱肉が載り難いです。そこで、目の細かい紙ヤスリで軽く表面を荒らし、最後に食器用洗剤で洗浄すると良いです。ヤスリの代わりに歯磨き粉でみがいても良いです。




2012年8月25日土曜日

iModelaで金印判子をつくる

iModelaで金印判子をつくる


<概要>

iModela(iM-01)とWINSTAR Craft for iModela で判子を作ります。
WINSTAR Craft iModelaには、印章を作成する機能があり、印章データとして、BMP画像データを使用することが出来ます。



<道具・材料>

道具・材料は、「iModelaでアクリルキーホルダ(アルファベット)」と同じです。

印章面の材料は3[mm]厚のアクリル板を使いました。

判子の持手部分はアクリルブロックを使用しました。



<作り方>

<印章データの作成>

原図となる印章の画像データを用意します。画像検索で、なるべく解像度の高い画像を選びます。

 元画像を、Windowsのツールの「ペイント」を使って、印章用のデータに修正・調整していきます。
まずは、元画像を、モノクロ(2値画像)に変換します。



その上で、画像データの修正を行います。



修正が完了したデータです。データは“BMP”形式で保存します。



<切削データの作成・切削>

WINSTAR Craft for iModelaで切削データ作成・切削を行います。

印章の大きさは、判子の持ち手として使用するアクリルブロックの寸法に合わせて決めます。この寸法と、印章外形カットの切りしろを考慮して、印章データ設定の中心位置を決めます。中心位置設定には移動量を1、0.1、0.01[mm]単位で変更できるiModela Controllerを使用します。

判子持ち手の印章面寸法:横(X),縦(Y)=30×25[mm]
印章面外形カットの切削工具径:1[mm]
切削時の余裕:1[mm]
として、iModelaの中心位置を、
横(X)、縦(Y)=14.5×17.0[mm]
としました。
Z軸は、切削工具先端が、印章用アクリル板に当たる位置で、原点(0)設定します。
この段階で、印章面のアクリル板と、切削工具の設定を行うことになります。


次に、印章面データの設定を行います。
切削工具は、エンドミル60°を使用しました。
これは、0.1[mm]程度の切削幅でないと、印章面がつぶれてしまうためです。

刃物径:0.1[mm]
幅:23.424[mm] (高さデータを設定すると、幅は、自動で設定されます)
高さ:22.968[mm](外形より一回り小さく設定します)
外側側切削幅:25[mm](判子持ち手の寸法)
外形切削高:30[mm](判子持ち手の寸法)
外形枠でパスのクリップ:チェックを入れる
反転彫り:チェックを入れる


画像取り込み画面で、印章BMPデータを選択します。
オプション-トリミング:チェックを入れる



次に切削を行います。
加工-全体加工 を選択します。


加工設定窓で、

切込深さ:0.1[mm]
仕上げ加工:チェックを入れる


これで、了解ボタンを押して、加工開始します。




次に、印章面を切り出すための、外形カットを行います。

切削工具は、ルータ1.0[mm]を使用します。切削工具を取替え、Z軸の原点調整を行います。X,Y軸の変更はしません。

刃物径:1.0[mm]

パラメータ入力窓で、
幅:25[mm]
高さ:30[mm]

の設定で外形を設定します。




次に切削を行います。

設定は、
切込み深さ:3[mm](アクリル板の厚み寸法を設定)
仕上げ加工:チェックを入れる

としました。




これで切削完了です。



切り出した印章面を、判子持ち手に両面テープなどで接着して完成です。



2012年8月22日水曜日

iModelaでアクリルキーホルダ(漢詩)

iModelaでアクリルキーホルダ(漢詩)


<概要>

前回、アルファベット(ドイツ語)のキーホルダを作りました。今度は漢字(漢詩)のキーホルダを作ります。




<道具・材料>

道具・材料は前回の、アルファベットのキーホルダと同じです。

<作り方>

今回も、切削データ作成・切削をWINSTAR Craft for iModelaで行います。
作業順序は、



A.文字面の加工
A-1.文字切削1回目
A-2.文字切削2回目
A-3.穴切削
A-4.外形カット

B.合わせ面の加工
B-1.穴切削
B-2.外形カット
B-3.接着剤進入防止溝切削

となります。

データの作成方法、切削方法は、アルファベットキーホルダと変わりませんので、作業のポイントだけを紹介していきます。


A.文字面の加工

A-1.文字切削1回目

今回作成する漢詩は五言絶句(4行5文字)で題名を入れると5行になります。
iModela Craft for iModelaでは、一度に切削できず、3行づつに別けて切削します。
このため、題名と、1行空けて本文1行を切削して、その後で本文3行を切削します。
切削工具は、エンドミル60°を使用します。

刃物径:0.1[mm]
フォント:HG正楷書体-PRO
スタイル:標準
塗りつぶし:チェック
文字高:5[mm]
文字幅:5[mm]
間隔:2[mm]

で設定しました。これで一度データを作り、1行の長さを確認します。本文の1行5文字が一番長く、25.00[mm]になりますので、外形はこれより一回り大きくする必要があります。この外形と、2回目に描く文字領域も考慮して、切削の中心位置を決める必要があります。




各工程でのデータの中心位置の決定は、図面を手書きした方が早いです。



中心位置を決めて、最初の文字群を設定したら切削を行います。中心位置の設定はWINSTAR Craft for iModela ではなく、iModela Controllerで行った方が、現在位置を数字で表示できるので良いです。



データ設定が終わったら、切削を行います。
切削幅:0.1[mm]
切込み深さ:0.05[mm]
仕上げ加工:チェック

の設定にして加工しました。




A-2.文字切削2回目

次に後半の3行の文字データの設定を行います。
文字以外の設定は、1回目と同じです。

切削データの中心位置は1回目と2回目の文字群の間に2[mm]空きが出来るように設定します。


切削は1回目と同じ設定で行います。


A-3.穴切削

切削工具はルータの1[mm]を使用します。

刃物径:1.0[mm]
穴の幅:3[mm]
穴の高さ:3[mm]

の設定で、中心位置を決めて設定します。



切削条件は、ルータ1[mm]で、2[mm]厚のアクリルを使ったので、

刃物径:1[mm]
切削幅:1[mm]
切込み深さ:2[mm]
仕上げ加工:チェック

で行いました。



A-4.外形カット

切削工具は、穴加工と同じ、ルータ1[mm]を使います。

幅:50[mm]
高さ:30[mm]
の設定としました。この寸法は、掘り込んだ文字を囲い込み、更に1~2[mm]の外周を持つ寸法にします。




切削の条件は穴加工と同じです。

これで、文字面の加工は完了です。

B.合わせ面の加工

B-1.穴切削

次に、文字面とあわせる面の加工を行います。
穴切削は、文字面のA-3と同じデータ設定と加工になります。

B-2.外形カット

外形カットも、文字面のA-4と同じ加工になります。

B-3.接着剤進入防止溝切削

この加工は、外形カットの内側に溝を掘ります。これは、接着剤が、溝より内側に入らないようにするためのものです。アクリル接着剤はアクリル板をあわせた隙間に入り込んで行きますが、全面に行き渡らず気泡が残ります。こうなると見栄えが悪くなるので、接着剤は、外形端面から1,2[mm]内側までで止まるようにします。このためには、接着面の片方に接着剤の侵入防止用の溝があればよく、このために外形に沿って溝をつけます。

使用する切削工具は、エンドミル60°(文字を切削したときの工具)を使います。
刃物径:0.1[mm]
幅:47[mm]
高さ:27[mm]

の設定としました。外形の寸法から各辺、1.5[mm]内側に溝をつける設定にしています。



切削は、

切削幅:0.1[mm]
切込み深さ:0.1[mm]
仕上げ加工:チェック

の設定で行います。




これで、切削加工は完了です。



次に、アクリル板の接着を行います。
接着面の埃や汚れを取ります。傷が有る場合は、サンエーパールなどの研磨剤で磨いておきます。接着面を合わせて、洗濯バサミなどで仮止めして、合わせ面に接着剤を流し込んでいきます。




接着が完了したら、ヤスリで面取りを行い、研磨剤で全体を磨き完成です。